パパがもらった山盛りエビフライ
改めて言うまでもなく、じいじ&ばあばにとって孫は特別な存在です。
会社では「鬼軍曹」と呼ばれる部長でさえ、唯一、孫に対しては野に咲くタンポポのように優しく接します。
タンポポは、孫から髪をもみくちゃにされようが少々ヨダレを垂らされようがいつもニコニコ笑い、いないいないばあで変顔をしたり、ヒヒーンと鳴くお馬さんになってみたり、あるいは「おひげジョリジョリ攻撃〜☆」などを全くちゅうちょなくやります。繰り返しますが、会社では部下を奴隷のようにこき使い、「人格が破綻している線が濃厚」と噂される”鬼軍曹”が、です。世間一般的に、「孫=目に入れても痛くないもの」という理解は決して大げさではないようですね。
また、昔こういうCMもありました。
私のおじいさんがくれた初めてのキャンディー
それはヴェルタースオリジナルで私は4歳でした
その味は甘くてクリーミーで
こんな素晴らしいキャンディーを貰える私は
きっと特別な存在なのだと感じました
今では私がおじいさん
孫にあげるのはもちろんヴェルタースオリジナル
なぜなら、彼もまた特別な存在だからです
おじいさん&おばあさんは、特別な存在である孫に、そのことを伝えたい・喜んでもらいたい・笑顔を見せてほしいという欲求があります。
しかし、彼らには体力的な制約があり、丸1日かけて富士急ハイランドで遊んだり、公園で一緒になってサッカーしたりはできません。そのため、彼らのオモテナシの手段といえば、物やお金などの現物支給がメインとなります。
そして現物支給は、どれほどクリーミーであろうとキャンディーひとつでは済まないのが実情です。孫に「じいじ、まさか・・・。これだけはないぜよ?」という顔をされるのがたまらなく怖いのもあります。
結果として、孫にはよくないと分かっていながらも、つい、お菓子やジュース・アイスクリームなど、孫の笑顔が約束された食べ物を与えてしまいます。ほかにも、アニメや映画を長時間見せたり、高価なオモチャを買い与えたりして、基本的に接待づけにします。地理的に離れていて年に数度しか会えないとなると、なおさらです。なかには、自宅の庭の一部を改造し、孫専用のブランコや砂場を手作りしてあげる例も(嘘のようですが)散見されます。
まあ、それでも、せいぜい数万〜数十万円の買い物ですから、貯蓄が十分あり、かつ、ほかに大きな支出もない年代にとっては痛くもかゆくもありません。実質的には無限に、孫の物欲にこたえることができる。そして、甘やかした分だけ手応えを感じられる。ーーお金で相手の好意を買おうとするのは、なにもベンチャーの社長や夜の世界の人たちに限った話ではありません。
ちなみに、パパのばあば(君から見てひいおばあちゃん)は、パパのことをいまだに「名前+たん」と呼び、ふらっとばあばの家に立ち寄るとなると、パパが子どものころ大好物だったエビフライを必ず用意して待ってくれます。
正直にいうと、大人になったパパは、もうそれほどエビフライを好きではないのですが、実際に山盛りのエビフライを目の前にすると、「ああ、きっと自分は特別な存在なんだな」と今でも強く感じるのです・・・。
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※画像はWikipediaより転載
※5/3 タイトルを変更し構成も変えました